kakukaisite
かく解してこそその歌も、「うから(れ)めなるサキクサはうかれて宿も定めぬか、傀儡まわしのシサムは廻り来て居る」の意に解いてよく通ずるのである。「くぐつ」と「くぐつまわし」とはもと必ずしも同一とは思われぬが、これは歌詞の都合上から、「廻り来て居り」と言わんが為に、ことさらに「くぐつまわし」と云ったのかもしれぬ。しかし「くぐつ」にしても「くぐつまわし」にしても、それをその頃において「くぐつし」と云ったとは思われぬ。これは平安朝に傀儡子と書いたのを後に人形遣いのみのこととして傀儡師と書くようになっての後の事であろう。したがって右の連歌の詞書は、「傀儡師なるサムカ」ではなくて、「傀儡なるシサムが」と見るべきものであろう。 果してしからば右の連歌は、まことに面白い発見ながら、未だ以て、平安朝当時からして既にサンカの語があったという証拠にも、また傀儡を一にサンカと云ったらしい証拠にもならぬ様である。 しからばサンカとは果していかなる語であろうか。これについては了蓮寺伊藤祐晃師の示された泥※之道という書に、 三家者位牌事 三家日本云坂者。取音呼訓故也。 とあるのが最も面白い説と思われる。Picking up nails after fire